目次
1. 「何がしたいのか分からない」その言葉を何度も聞いてきた
Aさん(25歳)は、大学卒業後に就職した会社を1年で辞め、今はフリーターをしています。
「辞めたことに後悔はないけど、次に何をしたらいいか分からなくて…」
そう話す表情はどこか曇っていて、自分を責めているようにも見えました。
でも、この言葉、私は何度も聞いてきました。
そして毎回こう思うのです。
「それって、すごく自然なこと」だと。
子どもの頃から夢があって、その通りの仕事に就く人は、実はほんの一握り。
やりたい仕事が分からないと悩むのは、“自分の人生をちゃんと考えようとしている証拠”なんです。
2. 焦って決めた「やりたいこと」は、本当にやりたいこと?
Bさん(27歳)は、転職回数が3回。
「やりたいことを探して転職してきたつもりだったけど、どれもしっくり来なかった」と相談に来られました。
話を聞いていくと、「やりたいこと」というよりは、
「楽しそうに見えること」「周りが褒めてくれそうなこと」を選んでいた、と気づいたそうです。
Bさんは、その後、仕事以外の時間に目を向けて、「自分が好きな時間」「楽しいと思える瞬間」を書き出してみたといいます。
すると意外にも、「誰かをサポートすること」や「何かをコツコツ整えること」に喜びを感じていたと判明。
そこから事務職に転職し、「やりたい仕事って、派手じゃなくていいんですね」と笑っていました。
3. 「やりたい」よりも、「できること」「得意なこと」から始めていい
「やりたい仕事が見つからない」とき、多くの人は“情熱”を探そうとします。
でも実は、「得意なこと」「できること」から仕事を選ぶ方が、長く働きやすく、満足度も高くなるケースが多いんです。
Cさん(29歳)は、「やりたいことは特にないけど、人と話すのは得意」と言っていました。
そこで、接客業から営業事務職に転職。
話すスキルを活かしながら、数字や進行管理にも関われる職場で、今は落ち着いて働いています。
「前は“やりたいことがない私はダメだ”と思っていたけど、今は“得意を活かせばいい”って考えられるようになった」と語っていました。
4. 「見つからないこと」に意味がある
やりたい仕事が見つからない時期は、正直、つらいです。
自分には何もないように思えて、自己肯定感も下がっていく。
でも、その“迷い”には価値があります。
自分の過去や価値観、働き方を見つめ直すチャンスなんです。
Bさんが話してくれた印象的な一言があります。
「見つからない時間が長かったからこそ、自分の人生を“選ぶ力”がついた気がする」
すぐに見つからなくても大丈夫。
そのプロセスが、これからの人生を豊かにしてくれると私は信じています。
5. 最後に|「やりたい仕事」じゃなくても、「やってよかった仕事」に出会える
「これだ!」という仕事に出会えなくても、やってみた仕事が「やってよかった」に変わることはよくあります。
Aさんも、最初は「なんとなく応募した」事務職で、今はチームを支える存在として頼られるようになっています。
「最初は全然ピンと来てなかったんです。でも、続けてみたら“ありがとう”って言われることが増えて、自分の役割があるって思えるようになってきました」
“やりたいこと”が見つからないことは、欠点ではありません。
それは、「ちゃんと自分の人生に向き合っている証」です。
どうか、そんなあなたに、「焦らなくていいよ」と伝えたい。
選択肢が見えなくても、一歩踏み出せば、見えてくる景色があります。
“やりたいこと”じゃなくていい。“やってよかった”と思える仕事を、少しずつ探していきましょう。