目次
1. 「朝、起きるのがつらい」それはもう十分なサインです
Aさん(28歳・営業職)は、朝起きると、まず吐き気がするようになったそうです。
「上司からの詰めが厳しくて、毎日プレッシャーがすごい。休日もスマホを見るたびに心臓がバクバクする」
初めて相談に来た時、Aさんの声は震えていました。
こうした状態になっても、真面目な人ほど「あと少し頑張れば」「自分のせいかも」と自分を責めてしまいます。
でも、私はこう伝えました。
「それはあなたが弱いんじゃなくて、無理をしすぎてるだけです」
身体や心が発しているサインを無視し続けると、回復に何年もかかるケースもあります。
限界が来る前に、「今の自分にとって、その職場が合っているのか」を立ち止まって考えることが、本当に大切なんです。
2. 「逃げる=悪」ではない。状況から距離を取ることも立派な選択
Bさん(30歳・事務職)は、ミスが続いたことをきっかけに、職場で孤立してしまったそうです。
それでも「逃げたと思われたくない」と耐え続けて、結局うつ病と診断され、半年間の休職に。
その後、ゆっくりと回復し、転職を経て今は穏やかな職場で働いています。
「今思えば、あの時“逃げて”いれば、もっと早く楽になれたかもしれない」
と話してくれたとき、胸が詰まりました。
逃げること=悪ではありません。
その場を離れることで、やっと呼吸ができるようになることもあります。
職場を変えるのは、決して“負け”ではなく、“次の可能性を選ぶ”ということ。
自分を守るために環境を変えることは、立派な決断です。
3. 転職を考えるべき“5つの基準”
「今すぐ辞めるべきか」「まだ頑張るべきか」
迷ってしまう人のために、判断の目安として以下の5つをお伝えしています。
- 睡眠や食事に明らかな影響が出ている(眠れない・食欲がない)
- 毎朝、仕事のことを考えると動悸や吐き気がする
- 誰にも相談できず、職場で孤立している
- 努力しても改善の兆しがまったく見えない
- 「辞めたい」が毎日のように頭をよぎる
このうち、2つ以上当てはまる場合は“黄色信号”。
3つ以上であれば“赤信号”として、転職を前提に情報収集を始めた方がいいタイミングです。
4. 「じゃあ次は何をしたい?」が浮かばないなら
ストレスで限界にいるとき、「次に何をしたいか」なんて、考えられなくて当然です。
Cさん(26歳・保育士)は、激務と人間関係のストレスで退職したあと、「何もやる気が起きない」「もう働きたくない」と話していました。
でも、少しずつ自己分析を始めて、「人と関わるのは嫌じゃない」「静かな環境が合っているかも」と気づき、半年後には福祉関連の事務職に転職。
「当時は“何もない自分”に思えたけど、ちゃんと積み重ねてきたものがあったんだ」と言っていました。
次が見えなくても、まずは“今の自分を守ること”が優先です。
回復してから、未来のことを考えても、決して遅くはありません。
5. 最後に|「本当にもう無理」と思ったら、迷わず“自分側の味方”を作って
「もう限界」と思ったときほど、人は誰にも頼れなくなってしまいます。
でも、そのときこそ、一人で抱え込まずに信頼できる誰かに話すことが大事です。
転職エージェントでも、キャリアカウンセラーでも、専門の相談窓口でも構いません。
あなたの話を否定せずに聞いてくれる人が、必ずいます。
Aさんも、相談のあとにこう言っていました。
「“辞めてもいいんですよ”って言われた時、涙が出ました。そんな言葉、誰にも言われたことがなかった」
——壊れてからでは、遅い。
どうか、自分のために「逃げる選択肢」も持っていてください。
それは“弱さ”ではなく、“生きる力”です。