自動車整備士の転職先として多い業種とは?経験者が語る意外な選択肢

1. 整備士からの転職、その先にあるのは?|現場を離れても活きるスキル

Aさん(30代男性)は、ディーラー系の自動車整備士として8年働いていました。毎日、エンジンオイルにまみれながら、お客様の「安心して車に乗りたい」という気持ちを支えてきました。

でも、ある日、ふとした瞬間に「このまま定年まで、この仕事を続けていけるだろうか…」と不安がよぎったそうです。腰痛、長時間労働、体力的な限界。それでも「車が好き」という思いは消えなかった、と話してくれました。

そんな彼が選んだのは「ロードサービス」の仕事。突然のパンクやエンジントラブルで困っているお客様のもとへ駆けつけるこの仕事では、整備士としての経験が大いに役立ったそうです。

「工具を持つ手が自然と動く。あの時の経験が体に染みついていたんです」

現場の整備士から転職しても、その“経験”は決して無駄にはならないのです。


2. 必要なスキルや資格は?|不安でも一歩踏み出せば世界が広がる

整備士資格を持っていても、いざ転職となると「ほかの業種でやっていけるのか」と不安になる方も多いです。実際、Bさん(20代後半・女性)は整備士専門学校を出てから民間整備工場で働いていましたが、職場の人間関係に悩み、転職を決意。

「整備以外は何もできないと思っていた」と話すBさんが選んだのは、自動車部品メーカーの「品質管理」職。最初は図面もよく分からず戸惑ったものの、配属後すぐに「あれ、この部品、車検でよく見てたやつだ」とピンときたそうです。

現場での経験が、モノづくりの現場でも大きなアドバンテージになる――そんなことを身をもって実感したと語ってくれました。

「慣れるまでは本当に怖かった。でも、少しずつ“分かる”が増えて、自信に変わっていったんです」


3. キャリアの広がり|整備士から“教える側”へ、想像もしてなかった未来

Cさん(40代前半・男性)は長年、整備士として働いたあと、職業訓練校の「自動車整備科講師」に転職しました。

「まさか、自分が教える立場になるなんて、若い頃は想像もしなかったですよ」と笑いながら話すCさん。でも、教える中で「過去の自分のような若者」が悩み、成長していく姿を見て、自分自身の成長も実感したといいます。

「誰かに教えるって、自分の経験を言語化すること。あのとき、何を考えて整備していたのか――言葉にすることで、あらためて自分が積み上げてきたものに気づいたんです」

キャリアの途中で道を変えても、過去の経験は必ず活かされます。それは「積み重ねてきた技術」と「人としての厚み」そのものです。


4. 年収は下がる?上がる?|待遇の変化とその裏側

自動車整備士として働いていた頃、Dさん(30代後半・男性)の年収は350万円ほど。転職先として選んだ中古車販売会社の「査定・仕入れ担当」では、営業要素が強く、最初は「向いていないかも」と不安だったそうです。

ところが、現場で車を見極める“目”が武器になり、数ヶ月で営業成績が急上昇。2年後には年収が500万円を超えました。

「正直、収入が上がるとは思ってなかった。でも、整備士として“いい車かどうか”を見抜く目がそのまま営業の成果に繋がったんです」

転職後に年収が下がるケースもあれば、逆に上がることも。大切なのは、自分の「何を活かせるか」に気づけるかどうかです。


5. エージェントとの出会いで見えた、新しい可能性

Eさん(20代後半・男性)は、転職活動を始めたものの「どうせ整備士しかできない」と思い込み、求人サイトを眺める日々。そんなとき、転職エージェントに相談してみたことが転機になったといいます。

「ヒアリングの時、エージェントの方が“あなたは人に説明するのがうまい”って言ってくれて。そこから“サービスアドバイザー”って仕事を紹介されました」

結果的に、自動車ディーラーのフロント業務へ転職。整備士の知識が活かせる上、接客スキルも磨かれ、今ではお客様に感謝される日々を送っているそうです。

「面接前は緊張で手汗びっしょり。でも、“あなたならできます”って背中を押してもらったあの一言が、今でも心に残っています」


まとめ|自動車整備士の転職に“正解”はない。でも、道はたくさんある

自動車整備士の経験は、他の業種でも強力な武器になります。

  • ロードサービス
  • 自動車部品メーカー(品質管理・開発)
  • 教育機関(講師)
  • 中古車販売・営業
  • サービスアドバイザー(接客職)

転職には不安がつきもの。でも、「車が好き」「技術を活かしたい」という気持ちがあるなら、その思いは必ず“形”になります。

次の一歩を踏み出すのに、遅すぎることはありません。
あなたの経験を、次の場所で輝かせてみませんか?