30歳目前、今後のキャリアに焦りを感じたら

1. 焦りの正体は「比較」と「曖昧な将来」だった

「周りは昇進してるのに、私はこのままでいいのかな…」
Aさん(29歳・事務職)は、仕事にも慣れ、任される範囲も増えていたものの、ある日ふとそんな不安を口にしました。

友人たちの結婚、出産、キャリアアップ——。気がつけば、自分だけが足踏みしているように思えてしまったんです。

「30歳って、何かしら形になってなきゃいけない気がして…」
彼女の言葉に、私は何度もうなずきました。私自身もそうだったから。

この焦りの正体は、「他人との比較」と「将来像が見えない不安」
でも、実はこれ、悪いことではありません。
むしろ、自分のキャリアと向き合う大事なタイミングなのです。


2. キャリアは「階段」じゃなく「分岐点」の連続

Aさんが相談に来たとき、最初にお伝えしたのは「キャリアは直線じゃない」ということ。

就職してからの数年間、「昇進」「昇給」といった分かりやすい基準に向かってきた人ほど、ふと立ち止まった時に不安を感じやすい傾向があります。

でも実際は、キャリアって「いつ・どこで・どう曲がるか」で大きく変わるんですよね。

たとえば、Aさんはその後、業務の中で気づいた「人をサポートするのが好き」という思いから、人事職に社内転職しました。

「肩書きは変わったけど、得意なことを活かせている感覚がある」
そう笑顔で話してくれたとき、彼女はもう“焦り”から自由になっていました。


3. 不安の整理には「書き出すこと」から

焦っているときほど、頭の中がぐるぐるして整理できなくなります。
そんな時は、まずモヤモヤの中身を紙に書き出してみるのがおすすめです。

Bさん(28歳・営業職)は、「転職すべき?」「今の会社でもっとできることは?」と悩んでいましたが、キャリアカウンセリングの中でノートに

  • 好きな仕事
  • 苦手な業務
  • 将来やってみたいこと
  • 働き方の理想

などを箇条書きにしたことで、自分の思考が整理されていきました。

「答えは出なかったけど、次に何を調べればいいかが見えてきた」と彼女は言っていました。
不安は「見える化」するだけで、対処可能なものに変わるのです。


4. 情報収集は「話を聞くこと」からでもOK

焦っていると、転職サイトを見ては「どれもピンと来ない…」と余計に迷ってしまうこともありますよね。

そんなときこそ、「まず話を聞いてもらう」ことが意外な突破口になります。

たとえば、転職エージェントとの面談は、「転職前提」でなくてもOKです。
Aさんも最初は「転職するつもりはないけど…」と相談していましたが、自分のスキルの棚卸しを通して、今の会社で挑戦したいことが見えてきたそうです。

選択肢が見えると、「今のままでいいのか」ではなく、「どう進めばいいか」という前向きな視点に変わります。


5. 最後に|「30歳までに答えを出す」必要なんてない

30歳という数字が、なぜか特別な意味を持ってしまう。
でも、実際は30歳は「完成」じゃなくて「スタートラインの一つ」にすぎません。

Cさん(29歳)は、長年務めた会社を退職し、半年間フリーターを経験した後、ずっと興味のあったWebデザインスクールに通い始めました。

「周りは安定してるのに、私だけ遠回りしてるかも…と思ったけど、今は自分の選択に納得しています」
彼女の言葉は、これからキャリアを考える人への力強いメッセージです。

焦りを感じたときこそ、自分の内側に目を向けてみてください。
答えは急がなくて大丈夫。
小さな「気づき」から、新しい一歩がきっと始まります。