目次
1. 介護現場のリアル|「こんなはずじゃなかった」と感じた日々
介護職に就いて3ヶ月目、Aさんはつぶやきました。「想像よりずっと大変…」。
資格を取って晴れて施設に就職したものの、初めての夜勤、急な利用者の体調変化、家族からのクレーム対応に心が折れかけていたそうです。
特に印象的だったのは、認知症の利用者に突然怒鳴られた日。「私、何か間違ったことしたのかな」と何度も自問し、泣きながら帰宅したことも。
でも、ある日ふとした会話の中で、その利用者が小さく笑った瞬間、「この仕事、やっててよかった」と思えたと言います。感情の波が大きい分、喜びも深い。それが介護職のリアルな日常です。
2. 向いている人の特徴|スキルよりも大切な“ある姿勢”
介護職に向いている人って、どんな人だと思いますか?
よく「優しい人」「体力がある人」と言われますが、実際に多くの現場を見てきた中で感じるのは、「相手の立場に立って考えられる人」が本当に強いということ。
Bさんは、介護の経験ゼロでこの業界に飛び込んできた元事務職の女性。最初は動きも遅く、ミスも多かったけれど、常に「この人は今、何が不安なのか」を考える姿勢が利用者の信頼を集めていきました。
一方、経験があっても「業務をこなすこと」が先に立ってしまう人は、現場で孤立することも。介護は“心”が見える仕事。技術や知識より、「目の前の人に関心を持てるか」が何よりの適性です。
3. 向いていないと感じる瞬間|それでも続けた人たちの選択
「向いてないかも…」と感じる瞬間は、どんな仕事でもありますが、介護職ではその“重さ”が違うかもしれません。
Cさんがそう感じたのは、3年目のこと。利用者の急変を経験し、「命と向き合うのが怖い」と感じてしまったそうです。
一時は転職も考えましたが、「だからこそ、自分にできることをもう一度考えたい」と思い直し、相談業務やレクリエーション担当へと異動。現場から少し距離を置いたことで、「また利用者と笑えるようになった」と語っていました。
介護職に向いていない=辞めるしかない、ではないんです。関わり方を変えることで、自分に合った形で続けられる道もあります。
4. 感情との向き合い方|「いい人」でいなくていい
介護の現場でよくある誤解が、「常に優しく、笑顔でいなければならない」という思い込みです。でも、それは現実的ではありません。
Dさんは、新人の頃、「感情を出してはいけない」と思い込んで限界まで我慢した結果、ある日突然、職場で泣き崩れてしまったそうです。
その時、先輩に言われた言葉が今でも支えになっているそうです。「私たちはロボットじゃない。感情があるから、この仕事ができるんだよ」
介護職に向いている人は、「自分の感情を適切に扱える人」。完璧を目指すのではなく、感情を認め、人に頼れることも大切な“スキル”のひとつです。
5. 向き・不向きは固定じゃない|変化する自分を許してあげて
最後にお伝えしたいのは、「向いている・向いていない」は、経験や環境によって変わるということ。
Eさんは、最初の職場ではうまくいかず「自分は介護に向いていない」と思い込み、転職を考えました。
でも、別の小規模施設に転職したことで、一人ひとりと向き合える時間が増え、自然と「自分らしく働けるようになった」と感じられるようになったそうです。
「向いてない」と思った時、それは“自分が悪い”のではなく、“今の職場が合っていない”だけかもしれません。
介護職は、感情も体力も使う仕事。でもそのぶん、やりがいや人とのつながりを実感できる特別な仕事でもあります。
まとめ|あなたの“思いやり”が、誰かを支える力になる
介護職に向いているかどうかを決めるのは、過去の経験でも、スキルでもありません。
「この人を笑顔にしたい」「寄り添いたい」という気持ちがあるかどうか。
そして、何より「自分自身を大切にできるか」が、続けるうえで一番大切です。
もし今、「自分は向いていないかも…」と悩んでいるなら、その気持ちを否定しなくて大丈夫。
向いている・向いていないを決めるのは“今の自分”じゃなくて、これからの“経験”です。
あなたのその優しさは、きっと誰かの支えになります。