目次
1. なぜ面接官は「前職を辞めた理由」を聞くのか?
転職活動の面接でほぼ必ず聞かれるこの質問。でも、これって一体なぜ聞かれるのか、考えたことはありますか?
実は、面接官が知りたいのは、「あなたの不満」ではなく、「あなたの価値観」や「次の職場に何を求めているのか」という点なんです。
Aさんは、前職を3年勤めた後、転職を決意しました。理由は「上司との関係に悩んでしまったから」。でも、そのまま正直に伝えてしまうと、ただの愚痴に聞こえてしまう危険もあります。
ここで大切なのは、「過去への不満」ではなく、「未来への希望」にフォーカスして伝えること。たとえばAさんはこう話すようにしました。
「前職ではチーム間の連携に悩む場面が多く、もっと自分の力を活かせる環境を求めて転職を決意しました」
ただ事実を並べるだけでなく、「だから、どうしたいか」をきちんと話す。これが、“前向きな退職理由”に変えるポイントなんです。
2. 正直に話しても大丈夫?そのラインの見極め方
「本当のことを言って大丈夫ですか?」これは、転職相談で最も多い質問のひとつです。正直に話すべき。でも、なんでも全部ぶちまければいいというわけではありません。
Bさんは、パワハラまがいの指導に心が折れ、半年で前職を辞めました。心の傷が癒えず、転職活動も足が止まってしまっていた時期がありました。
そんなBさんが一歩踏み出せたのは、「自分を守るために辞めた」という事実を、否定せずに受け入れられた時でした。
「働き続けたい気持ちはありましたが、自分の心身の健康を守るために退職を選びました。今は、前向きな気持ちで新しい環境を探しています」
マイナスに見えそうな事実でも、それを“どう捉え、どう乗り越えたのか”を言葉にすれば、伝わり方はまるで違います。
3. 「ネガティブな退職理由」も伝え方次第で印象が変わる
「人間関係が悪かった」「評価されなかった」「仕事がつまらなかった」——こういった理由で辞めた方も多いですよね。
でもそのまま口に出すと、当然ながら印象は良くありません。
Cさんは、「毎日ルーチンの作業ばかりで、やりがいがなかった」と感じて前職を辞めました。最初の面接ではそれをそのまま伝え、「仕事に飽きっぽいのでは?」と懸念されてしまったそうです。
でも伝え方を変えたことで状況は一変。
「前職では安定した環境で働いていましたが、次第に新しい挑戦がしたいという気持ちが強くなりました。自分の可能性を広げるために転職を決意しました」
言っている内容は同じでも、「何をしたいから辞めたのか」に視点をずらすことで、受け取り手の印象はまるで違うものになります。
4. 転職理由に「空白期間」や「短期離職」がある場合は?
特に30代以降の方に多い悩みが、「短期間で辞めたことをどう説明すればいいか」というものです。
私の友人Dさんは、入社3か月で退職。その理由は「思っていた業務内容と違い、どうしても納得ができなかったから」。焦って決めてしまった転職先だったそうです。
でもDさんは、「その失敗から何を学んだか」を伝えることで、自分の成長を示しました。
「入社前の確認不足が招いた結果でしたが、自分に合った働き方や環境を深く考えるきっかけになりました。今回の転職では、その点を重視して活動しています」
空白や早期退職があっても、それをどう糧にしたかを言葉にできれば、逆に信頼を得ることも可能です。
5. まとめ|“辞めた理由”ではなく、“これからの働き方”を語ろう
「前職を辞めた理由」は、自分の弱みや過去の失敗に向き合うことでもあります。
だからこそ、ただ事実を伝えるのではなく、「その経験から何を学び、次にどう活かしたいのか」まで話すことが重要なんです。
誰しも、完璧なキャリアなんてありません。つまずいたこと、悩んだことがあるからこそ、人としての深みが増す。私はこれまで数百人の転職相談を受けてきましたが、「辞めた理由をちゃんと話せた人」ほど、新しい環境で活躍している印象があります。
あなたの“本音”は、うまく整えて伝えれば、きっとあなたの魅力になります。怖がらず、正直に、でも前向きに──それが、面接での「辞めた理由」の一番良い伝え方です。